朝靄

米山京子さんの作品をご紹介します。

「朝靄」 顔彩

 

湿地の朝靄の中、タンチョウが群れを成しています。一筆一筆丁寧に色を重ねていった様子が見て取れます。短いタッチが独特のゆらぎとなってわずかに波が立つ様子や、靄が立ち込めて空気の層が幾重にも重なる感じが出ています。

もう一つ、この作品の特徴は明暗差と物の配置を利用した視線の誘導でしょう。背景左奥からぐるっと螺旋を描くように時計回りに回って、最後に主題である中央左の2羽に視線が行くような構成になっています。すばらしい構図です。そして、その2羽はなんと求愛のダンス中??取り巻きのタンチョウは応援しているのか羨んでいるのか・・・皆さんにはどう見えますか?

モノクロ調の落ち着いた雰囲気ですが、かなり情熱的にも見える面白い作品です。