深海龍

塚本雅空さんの作品をご紹介します。

「深海龍」鉛筆 画用紙

 

塚本さんは想像上の生き物の絵をよく描かれます。今回描かれたのは深海龍。真横からの切り取り、胴体がフェードアウトしていくという形で表現しました。頭部に視線が集中する描き方です。対象を冷徹に写した標本図のような雰囲気を受けます。塚本さんのイメージの世界を具現化したものでありながら、どことなく龍を客観視したような絵になっているのが面白いです。

ゴツゴツとした硬い皮膚や、各所に生えるトゲにヒゲは強さを表しているようです。それに比べて瞳はとても優しそうで穏やかです。ものすごい年月を生き、知性が高く膨大な知識を持っているタイプの龍なのかなと思います。争いごとは好まないけど、いざとなったら巨大な体を生かして無双する。心優しい深海の王者と言ったところでしょうか。かっこいい作品です。